『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』を読んでみた

最近話題の?反知性主義がテーマの本です。

『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』森本 あんり著

筆者は森本 あんりさんという人で女性なのかなと思ったら、オジサンでした…。

さてそれは良いといて筆者の森本さんは神学者、国際基督教大学教授、牧師(wikiより)でプリンストン神学大学院博士課程修了でPh.Dを取得されています。プリンストン神学大学というのは1812年に設立されたアメリカの神学校で現在まで続いているというかなり由緒ある学校でここのPh.D取ってるくらいですから凄い学歴の人だな~と思いましたね~。

日本のそこらへんの大学の先生とか言ってる人だと博士号すらない人も実際多いのですが、森本さんはアメリカの大学で博士号取ってるので相当のインテリの人だと思います。

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反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体はためになった

『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』を読んでみて読後の感想としてはためになる本だなということです。

私をふくめて日本人ってアメリカのことは何一つ知らないじゃないですか?

トランプさんが大統領でNBA、大リーグ、音楽とか今のアメリカくらいは多少知ってる人はいるんでしょうけどもアメリカの文化なんて何一つ知らない人がほとんどだと思います。

この本を読むとアメリカが欧州や日本といった先進国と根本的に違う異質な国家、国民性である部分が何となく理解できると思われます。

アメリカと日本は同盟国で何となく近いような、シンパシーが感じられるような気がしている人がいるかもしれませんが、日本とは全く違う国家や国民性であり、何より宗教の土台が違っていてこの本に書かれているようなバックボーンを知らないと「アメリカ」について絶対に理解することができないことがよくわかりました。

アメリカが金儲けにポジティブになれる理由とは?

アメリカ人はお金儲けにポジティブです。

日本人はお金儲けについて何か汚いとかズルいことをやっているみたいなネガティブなイメージを持ちがちですよね?それについて今ですとホリエモンみたいな人がお金儲けをして何が悪いのか?ネガティブなことじゃないよとか反論している訳です。

しかし日本人はそれに全く同意していません(笑)。それはそうでしょう。ホリエモンだって悪いことをして刑務所にまで入れられました。孫正義さんについても昔から良い噂なんて一つもありません。ホリエモンは孫さんを褒めているようですが、その盟友であるSBIの北尾吉孝さんのことはフジテレビ買収時に煮え湯を飲まされていて今でも恨み骨髄で「あいつは嘘つき、汚い奴だ」と罵っています。

それは良いとしてもアメリカ人はお金が大好きだからお金儲けにポジティブなんだという訳でもないようなんですね。まあお金が好きな人もいるでしょう。しかしいかにお金が好きだからと言っても普通はそんなに頑張れないですよね。要するにそうじゃない理由があるということなんです。

この本に書かれていることによるとアメリカ人にとってのキリスト教というのは努力したから成功したんだという非常に単純明快なものなんだそうです。日本人でも努力したら成功するみたいなことを考えている人は多いかもしれません。しかしアメリカ人の場合はそれが宗教的な生き方なんだそうです。

つまり、遊び呆けたり酒を飲んでギャンブルをするような破滅的な生き方ではなく、朝早起きをして真面目に仕事を頑張って勤勉であることによって成功することが神に愛されている、神様のおかげ、という宗教観になっちゃっているようなんですね。

ですから成功しないということはまだまだ頑張りが足りないし、それは宗教心が足りないというか神に認められていないというか…。

とにかく神を信じて一生懸命に仕事を頑張って成功することがアメリカ人のキリスト教観なのだそうです。

ですからお金儲けが宗教なので何の罪悪感もありませんよね?

100%ポジティブになれると思います。別にお金が好きとかじゃなくても宗教的にビジネス(お金儲け)が奨励されているので何の障壁もありません。神を信じることで成功する、成功するには酒を飲まずにギャンブルをせずに一生懸命に仕事を頑張るんだという教えなんです。

ですからホリエモンがいくらお金儲けは汚くないとか主張しても実際はそういうことじゃないんですよね。ホリエモンは明らかに日本人が抱きやすい”ふわっとしたアメリカなるもの”に影響されているんだと思うのですが、向こうは宗教とプラグマティズムが合体しちゃっている歴史的経緯があるから、多くの人がお金儲けにポジティブなんだと思いますよ~~?という感じです。

反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体の核心

さて『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』の核心はそこじゃなくてですね、何でアメリカ人は反権力を歓迎する国民性なのか?という部分だと思います。

そこはこの本を買って読んでみた方が良いでしょう。

アメリカ人の半分くらいはトランプさんみたいな人が大好きなようです。日本だと絶対に嫌われるし総理大臣にはなれませんよね。でもアメリカではああいう人が支持されて大統領にまでなってしまう素地があるんだという深い話がこの本は書かれているのかなと思います。

こういう込み入った話は中々日本人じゃ分かる人は少数ですしやっぱりためになる本だな~と思いましたよ。

おすすめ度…★★★★(5点満点)

反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体