ファクトフルネス 書評※西欧の上級国民が考えるファクトとは?

ファクトフルネスの書評ということで1,800円もするこの話題の本を書店で購入して読んでみました。

紙の本を書店で買うなんていつ以来なんだろうか??などと思いながら、評判も良いし?さぞかし面白い内容なんだろうなと期待して読んだのです「が」でしたね。

結論というか前書きをしておきますが、(普段はヤバイ本(爆)しか読んでいない私なので)ハッキリ言ってこの本は退屈極まりない内容でした。

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ファクトフルネスの退屈極まりない理由とは?

このファクトフルネスという本を書いたのはスウェーデン生まれの医師の方で協力者はそのお子さん夫婦だそうです。

この著者で医師であるハンス・ロスリングという人は国連やEUとかいろいろなところでこのファクトフルネスの内容を講演しているということで世界的な著名な医師、作家みたいな人なんですね。

最近、上級国民という言葉が日本で言われているようですが日本の上級国民を遥かに凌駕するような超上級国民であるということが言えるでしょう(国連やダボス会議などで超エリート相手に講演しているくらいの方ですからね)。

ただその超上級国民が書いたファクトフルネスという本の内容は低級国民であるワタクシには全くと言って刺さらない内容で「退屈極まりない内容」でした。

なぜ退屈なのか?その理由

理由というのはよく分かりませんが、冒頭から退屈なデータを示されたり、世界の問題をクイズ形式で問われたりと個人的には全く興味がないことを問われてしまったためか読み進めるにつれてどんどんと興味を失う羽目になりました。

ハッキリ言ってワタクシのような低級国民にとって「世界の人口問題」「世界の食糧問題」についての事実(ファクト)は何の興味も湧かない話なのです。

確かにワタクシもいい年の大人なのでそういったことに興味を持って関心を持って知っておくべきことなのでしょうが、個人的な読書においてそういった事柄の内容を知ろうと努めたのですが(※自腹でこのような本を買った手前)、こんなに興味が持てないのかと思ったことは初めてでした。

統計やデータが間違っているとかそんなことはどうでもいい

この作者であるハンス・ロスリングさんは多分いい人なんだと思います。

統計をむやみに信じるつもりはなく慎重な態度でデータを取り扱った上で(例えば日本のリフレ派と称するインチキ臭い人たちとは一線を画するような公平な態度で)世界のファクトについて論じているのは好印象です。

ですが残念ながらそういった超上級国民の方たちが関心を寄せるファクトについてどうしても興味を持つことができずに、我慢して我慢して200P目の「パターン化本能をどう抑えるのか?」というところでコレ以上無いウンザリ感を持って読むのを止めてしまったというのが一つの事実なのです。

この本を買うべき人とは?

この本を買うべき人とは、

「俺は上級国民」と自負する方だと思います。

自負なのでこれから上級国民になる予定だという意識の高い方でもOKでしょう。言ってみれば学生さんでも良いかと。

しかし買ってはいけないのは私のような意識の低い下級国民でしょう。まさに金をドブに捨てるような行為です。本気で面白くないです。

例えば作者のハンス・ロスリングさんはこの著書で「世界が分断されているという思い込み」を批判してみせたりします。しかしながら確実に意識レベルでは世界は分断されているんだよと私が自腹を切ってこの本を買って途中で断念して証明してみせたと言って良いかと言えます。

この本に書かれているファクトとは超上級国民の方が目の当たりにするようなファクトであり、私のような人間にとってはかなりどうでもいい話なのです。

正しいから素晴らしいのではなく、正しいから誰でも納得する訳ではないということをハンスさんには知ってほしいと思います。これは教育レベルが低い連中のせいだということではなく、「もはや世界はそんなことはどうでもいいんだ」ということなのです。

西欧知識人が目の当たりにする西欧中心主義への懐疑

もう少し突っ込んだ??話をするとこの本を通底している思想とはあのナツイ考え方です。

それは、

「西欧知識人による西欧中心主義への懐疑」です。

うわ、ナツイな~って思った人もいるかもしれませんね。日本でも何十年も前に話題になったのか知らないですがこの手の話は大昔に日本でも言われた話だと思われます。

西欧知識人にありがちな西欧中心主義への批判でこのハンス・ロスリングさんも思想的な見地からではなく、自身の経験からインド人の学生の方がすでに医学の分野ではスウェーデン人の学生よりも高い教育を受けているという事実を知り「西欧の方が進んでいるというのは幻想だ」としています。

まあそりゃ分野とか断片を切り取ってみると西欧よりインドの方が進んでいるところはあるのかもしれません。データを紐解いてみるとアジアの後進国と思われている国々はすでに思ったよりも後進国ではないかもしれませんね。

ただだからど~したっていう風にしか私のような人間からすると思えないんですよね。

今更、西欧知識人がヨーロッパ中心主義を反省されてもしょうがねえじゃんっていう呆れはあったのは事実です。今も西欧知識人やEUのエリートさん達は思い上がっているのかとも思っちゃいました。EUはもう都会じゃなくて片田舎という印象しかないのですが?

「西欧中心主義への懐疑」へのウンザリ感

「西欧中心主義への懐疑」とか時代遅れの時代遅れとしか言いようがありません。

何と言っても日本で有名なのはフランスの思想家?哲学者?どっちか知らんけどジャックデリダですよね。デリダの脱構築みたいなこれが最も有名な西欧中心主義への批判かもしれません。

しかしこういうのも終わってる話でその顛末も最悪中の最悪で思想自体が自然消滅した感があります。それは思想が間違っていたとかそういうレベルではなく自滅感が強いです。

例えばあなたはデリダの「マルクスと息子たち」を読んだことがありますか?

(そんなクソマイナーな本は読んだことあるわけないですよね、無論あなたの人生には必要ありません)


これは買って後悔、読んで後悔の内容でただの悪口本です。。

ぶっちゃけ「俺こそが本当のマルクス主義者、マルクスの後継者」みたいな他のマルクス主義者への悪口を書いた内容で、デリダによる(「文学とは何か?」で有名な)テリー・イーグルトンへの陰湿な悪口に満たされています。

どうも欧州の哲学者(思想家)の多くは「マルクス主義者と名乗らないマルクス主義者」が多く、思った以上に共産主義(マルクス主義)への傾倒が強く、こういう人たちの”本当のマルクス主義者は自分”という自尊心は半端ないようです。

そういうのウンザリだわって思いますよね。

西欧中心主義への懐疑はマルクス主義者のニオイ

ハンス・ロスリングさんは先の怪しげな思想家?哲学者?みたいな連中とは違って本業は医師でまた事実を元にしたデータにより世界を正しく見ようと提唱している方です。

ですから何となくな話で西欧中心主義を批判している訳じゃないんだよということは言えますね。

ただ彼の考え方、主張したい一つにどうしても出てきてしまうのは「西欧中心主義への懐疑」です。私は左翼が嫌いな人間という訳じゃないんですが、どうしてもそこに行き着いてしまう人は「移民は悪くない」とか博愛主義みたいな考え方になってしまうのも事実です。

その手の話は2~30年前とかなら素晴らしいと言われたのかもしれませんが、今更言われても別に何とも思わないし、むしろその弊害の方が大きいのでは(特にEU地域では)と思うのです。

そういった事実を見ないで超上級国民のハンス・ロスリングさんは「世界は良くなっている」と言ってしまう辺りに私はそこはかとなく欺瞞のようなものを感じ取ってしまったのかもしれません。

ただ本当はこの本が言うように「世界はより良くなっている」のが事実なのかもしれません。しかしながら私のような意識が低い人間にとってはそれが事実に思えなく白けるばかりなのです。

おすすめ度…★★(5点満点)

ファクトフルネス